ペットと飼い主の高齢化問題~「飼えなくなったペットは保健所に連れて行く」悪習~

2016年8月31日

増える老犬・老猫の遺棄

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※写真はイメージです

改正動物愛護法によって、飼い主が終生飼育を義務付けられました。それに伴い、老犬や老猫の遺棄が増加しているのも事実です。迷子にみせかけて、ほっておくケースがよく見受けられます。保健所には首輪がついているのにもかかわらず飼い主が迎えにくることのほうが珍しいのです。

経済的にも身体的にも行き詰っての事かもしれません。が、年老いて飼い主に捨てられたペットの絶望はどれほどのものなのか。中には、空腹でさ迷い続け、ケガを負い、保健所に収容された時には表情をなくし、間もなく死んでしまう子も多いのです。迷子になったワンちゃんを飼い主さんが迎えに行ったケースでも、保健所に収容されたという心理的負担は大きいといいます。1~2週間元気がなかったり、食欲がなかったり、毛が抜けたり、多くのダメージを受けるそうです。

私が年をとってもどうか世話をして下さい。貴方も同じように年をとるのです。

Go with me on difficult journeys. Never say, “I can‘t bear to watch it, or, ”Let it happen in my absence.“ Everything is easier for me if you arethere. Remember, I love you. (犬の十戒)

レスキュー活動をされている方々は遺棄された動物達を保護し、心を痛めながらも、「捨てたあなたもきっと同じ目にあう」と言わずにはいられない現状なのです。

「飼えなくなったペットは保健所に連れて行く」と答えた70代は約40%

図 グラフ

高齢者にはインターネットの普及率が低い為、限られた情報の中で生活している人が多いです。ペットを飼えなくなると捨てるか、保健所に持っていくという知識しかない場合もあります。そして予期せぬ入院や死亡、ペットは飼い主が帰ってくるのを空腹のままで待ち続けながら、通報され保健所に収容されてしまうのです。社会と接触を持たないとペットにそのツケがまわってくるのです。

ペットを飼えなくなったら「保健所につれていく」と答えた70代の割合は40%。どの年代よりも多いのです。(グラフ参照)次いで、60代が35%。他の世代は20%台。年代により意識の差が見られます。「飼えなくなったら保健所へ連れて行けばいい」という悪しき文化・習慣は終わらせなければいけません。

高齢者の意識を改革するのは今更難しいかもしれません。一方で、若い世代こそ「命の授業」の普及で、保健所・愛護センターで何が行われているか、殺処分の現状を学び、現実を変える力を備えて欲しいと願います。

高齢者になっても社会や人とつながり、社会や人も高齢者とそのペットを気にかける。もしもの時にはどうするのか、どうすべきなのか、問いかける、アドバイスする。高齢者も閉鎖的にならずに、ペットと共に前向きに生きていく姿勢を示すことで、もしもの時思わぬ助けを受けやすくなります。

65歳以上の人がいる世帯の構成割合で見ると単独世帯は26%、夫婦のみの高齢者世帯は32%となり、高齢者のみの世帯は6割近いということになります。(平成27年 国民生活基礎調査)近年では高齢者層とは同居せず、近居するスタイルが浸透してきています。近居といえども、別世帯となると、親の飼っている犬や猫に対して冷淡になるケースもあります。

高齢者のペット飼育をサポートするあらたな取り組みも注目されています。介護が必要な高齢者と、犬、猫がともに暮らせる特別養護老人ホームやペット可のサービス付き高齢者住宅も増えてきました。ですが、経済的に苦しくなり遺棄せざるを得ない状況になるケースも、多々あるはずです。ビジネス以外の受け皿となるサポートも限界に来ている感があります。

いずれにしても、人はみな高齢者になるのだから、そういった視線で、社会も私達も、高齢者とペットを見守り、普段から気に掛ける、何かの時は声をかける、助けるといった意識を持ちたいものです。