塩村あやか議員が8週齢規制・飼育施設規制にこだわる理由とは?HWJ東大阪主催講演会①

2016年9月18日

動物愛護の活動をする上で共有したい考え

 fullsizerender-52

2016年9月17日(土)にHWJ東大阪さん主催でおこなわれた塩村あやか議員の講演会。テーマは「殺処分ゼロに要注意」。出席された東大阪市の男性議員さんはすべての講演会が終わった後のご挨拶で「こういう動物愛護(の活動や内容について)の話に触れたのは初めてのことで、大変勉強になった。」という意味合いのことを語っておられました。

「動物愛護活動については、様々な意見があり価値観がありますが、私自身が動物愛護活動をしていた経歴と、今の議員という立場からの活動を通してたどり着いた、動物愛護の活動をする上で共有したい考えを語ります。」と塩村議員。

動物愛護活動についてはじめて知る方や、実際動物愛護活動を行っている方、に向けて通常なら2時間かかるという内容を45分という限定された時間でしたが、ここで紹介させて頂きます。(ご本人の承諾を得ております。)

まずは現在の殺処分の方法について。二酸化炭素ガスを使った処分方法、一般的には安楽死だと言われている大型殺処分機での処分方法のスライド(徳島県)を見て現状を認識します。

ペットショップの問題が元凶となるが、、

 

こういった行政による殺処分をなくす為には、ペットショップの問題が元凶となっていると考え、人間の責任であると重く受け止め、日々改善に取り組んでいるということです。そこには子犬史上主義、子犬がぬいぐるみのように可愛いのは45日までで、8週齢規制を設けると競合他社に負けてしまうという金儲け第一主義の問題があります。

ペットショップで衝動買いすると、迎え入れる準備をしていないので様々な問題が起きます。お金がかかる、吠える、病気になる。塩村議員が住んだことのあるベルギー、イギリス、オーストラリアには大型ペットショップがなかったそうです。何故かというと、動物愛護先進国には8週齢規制があり、飼養施設基準(一匹の動物についての最低限のスペースを確保する基準)があるからだそう。

【飼養施設規制】
アメリカ(動物福祉法施行規則):猫では、スペースは、高さは少なくとも24インチ。8・8ポンド以下の猫では少なくとも3平方フィート、8・8ポンドを超える猫では4平方フィート。犬のスペースは「(犬の長さ+6インチ)×(犬の長さ+6インチ)=必要な床面積」。
ドイツ(犬の保護に関する規則):犬舎(檻)の大きさは少なくとも犬の体長の2倍の長さに相当し、どの1辺も2メートルより短くてはいけない。体高50センチまでの犬の場合、犬舎(檻)の最低面積は1匹あたり6平方メートルなければいけない。

ちなみにベルギーでは日本でいうところの井の頭公園のような場所に色々な動物がいるのがペットショップなんだそうです。

この飼養施設基準について、業界は「日本に適合するのか?」という難癖をつけているということです。

 

法改正により暗躍する引き取り屋

 fullsizerender-54

2万匹の犬猫達が流通の過程で死んでいると朝日新聞が報じましたが、現在は動物福祉の時代に入ったと言われており、生きていく環境が大事だということ。パピーミルの残酷さ、ペットショップの劣悪な飼養環境などが8週齢規制と飼養施設基準の導入で防げるといいます。

前回の法改正で後退したことのひとつには、引き取り屋という存在の需要が出てきたことです。業者が行政に引き取らせていた売れ残りの犬猫達を引き取り、劣悪な環境に置いておく、処分するという裏の業者が表の世界に出てきたのです。一般の人からも引き取ろうと目論んだサイトは、批判され瞬時にクローズしたそうです。そういった裏の殺処分業者を取り締まるには、動物取扱業の適正化が必須だといいます。

 

8週齢規制・飼育施設規制を設ければ、悪質な生体販売が減少し、愛護団体の崩壊も防げる

 

このような劣悪な業者を取り締まらなければ、野犬まで救える譲渡体制にならない。東京なら犬の殺処分数が少なく野犬の受け皿もありますが、野犬が多い地方では手が回らない現状もあります。

譲渡会をすればいい、となると愛護団体に負担が来て、団体が破たんしてしまう。行政殺処分がない国の施策から学び、8週齢規制・飼育施設規制を法に取り込めれば、愛護団体の破たんも救えるといいます。

ここで気を付けなければならないのは、ペットショップ禁止と叫んでしまうと、職業の自由はどうなるんだという新たな問題に火種が点きます。ペットショップでない場所で、販売する業者も出てくるという懸念もあります。「売ってもいいけど基準(8週齢規制・飼育施設規制)を満たさないといけない」となると、おのずと悪質な生体販売が減少するということです。

 

政治を理解しないまま愛護活動をすると騙される

fullsizerender-55

愛護活動する有名人、有名な愛護団体を応援する場合も「あの人はがんばっている」というだけではなく、短期・中期・長期で考えているかどうかの視点が必要だといいます。

例えばペットショップ崩壊という事態になり、すぐに愛護団体が引き取ってしまうと、「改善された」状況とみなされ、営業再開ということになります。命に危険がある犬猫などは病院に連れて行き、それ以外は証拠を残し、何が問題かを行政に認識させることが重要だとのことです。愛護団体が全て助けてしまうと、業者の営業を助けることになるのです。抜本的な解決に向けての視点が必要になります。

近年さかんにマイクロチップが推奨されていますが、マイクロチップもある種の利権です。先にマイクロチップを通したいので、8週齢規制を先に入れたくないのです。マイクロチップを個体識別の為に入れるなら、狂犬病防止法との2重の法規制になります。ただ、政治ではバーターにするくらいの考え方が必要だといいます。

動物愛護の有名人の場合でも、「譲渡会を」「飼い主への啓蒙活動を」というようなことばかりを並べていたら、いろんな方面から可愛がってもらえるそうです。結果、行政のイベントに呼ばれる、いろんなメディアに露出できる、ということになります。愛護団体、愛護有名人についても是非、本質を見抜く目を持ってほしいということです。

 

8週齢規制・飼育施設規制がすべての土台となる

 

現在、蛇口を閉める活動をしているところ、札幌や埼玉県です。蛇口を閉めるのは、8週齢規制・飼育施設規制で、これがすべてのベースになります。すべてにあてはまるので、ペットショップだけ攻撃するのは得策ではないのです。

その他の問題についての見解

●動物取扱業を登録制ではなく許可制および、罰則の強化

●危険犬種(と呼ばれている犬種)を守るためにも危険犬種飼育の登録制

●行政は及び腰になることが多いので、警察との連携の強化

 

蛇口を閉めることで、これまで愛護団体が諦めていた「人馴れしていない野犬」までの保護に手をつけれるようになります。都市部は野犬が少ない、殺処分も少ない。都市部でペットショップで買った飼い主からの放棄犬がなくなれば、地方での野犬を都市部で譲渡できるシステムが拡がり、日本も動物愛護後進国の汚名を少なからず返上できます。

最後に、小池都知事に提出する東京ゼロキャンペーンの方もよろしくお願いします、ということでした。

 

 

※8週齢規制を推奨するペンシルバニア大学教授のジェームス・サーペル教授の記事「なぜ8週齢規制は必要か」