犬や猫に権利を認めた、スペインの小さな町に希望を見出そう!

2015年11月19日

スペイン町議会で犬や猫に「人権」同等の権利与える条例可決――日本でも議論になる?犬や猫にも「人権」を認めよう――。スペインの小さな町の議会で、そんな内容の条例が可決され、話題となった。


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 ※写真はイメージです

 イギリスの新聞社「The Independent」によると、スペインのカスティーリャ・レオン州のトリゲロス・デル・バジェという人口約330人の町の議会で、犬と猫は「非人間 の住民(non-human residents)」であるとして、人間のもつ人権と同じような権利を認める条例が可決された。この新法では、「非人間の住民」を傷つけたり、殺害する ことや闘牛を禁止している。

町長は「犬と猫は私たち人間と1000年以上に渡って生活してきた」「私は人間の住民はもちろん、この町にいる他の生き物も代表すべきであると考えている」などとコメントしている。

日本でも、犬や猫の虐待などが問題となっているが、日本でも動物に「人権」を認めることは可能なのだろうか。議論になる可能性はあるのだろうか。伊藤建弁護士に聞いた。

●動物に「人権」を認めることまでは難しい

「結論から言えば、憲法で保障されている『人権』をそのまま動物にも与えることは、現状では難しいのではないかと思います」

伊藤弁護士はこのように述べる。なぜだろうか。

「『人権』とは、人が生まれながらに有する権利をいいます。

1776年に採択されたヴァージニア権利章典第1条によれば、人権とは、生命、自由、財産、平等、幸福追求などを保障したものであるといえます。

ちなみに、憲法が保障する国民の基本的人権は、近年では『憲法上の権利』と呼ばれ、人が生まれながらに有する人権だけにとどまらず、選挙権や裁判を受ける権利なども保障しています」

憲法が想定する人権の対象は、あくまで「人」というわけだ。動物に権利を与えるという考えは、日本に根付いていないのだろうか。

「そんなことはありません。いわゆる動物愛護管理法により、一定の動物については虐待などが禁止されています。ただ、すべての動物の『いのち』を保障したわけではありません。

たとえば、誰かが飼っている動物を殺したり、傷つけたりした場合には、器物損壊罪(刑法261条)として、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料に処せられます。

しかし、器物損壊罪は、飼い主の『財産権』を保護するためのものですから、動物の『いのち』を保護しているわけではありません。また、動物愛護管理法で保護の対象となるのは『愛護動物』だけに限定されています。

『愛護動物』は、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるの他(同4項1号)、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの(同2号)ですから、広く動物の『いのち』を保障したとまでは言い難いでしょう。

その他に鳥獣保護管理法もありますが、狩猟の鳥類または哺乳類に属する野生動物しか保護していませんし、許可を受ければ殺傷することもできてしまいます」

●チンパンジーに人身保護令状

あくまで、個別の法律で保護されているのが現状のようだ。こうした現状は変わっていくべきなのだろうか。

「世界的に見ると、動物の権利を保障する傾向は見受けられます。

たとえば、今年の4月には、アメリカ合衆国のニューヨーク州最高裁判所が、大学で研究のために飼育されている2頭のチンパンジーの勾留状態を維持するためには、人身保護令状を求めるという判断をしたことが報じられました。

我が国においても、動物の『いのち』を大切にするために、『愛護動物』として保護される範囲を広げることについては、議論になる可能性があるでしょう。

もっとも、すべての動物の生命そのものを保護するとなると、極端な話ですが、虫を殺すこともできなくなってしまいます。また、農作物を動物による被害から守る必要性もあるでしょう。そのため、動物を保護する範囲を決めるにあたっては、慎重な配慮をしなければなりません」

伊藤弁護士はこのように述べていた。

YAHOO! ニュース JAPANより転載

 スペインといえば昨年、エボラ出血熱に感染した看護師の飼い犬の殺処分問題で大論争になったニュースが記憶に新しいのではないでしょうか。残念な結果となってしまったようですが、スペインは動物愛護において先進国ではない、とも言われています。

 スペインの都心部では若者たちが人気犬種を飼い、田舎では雑種犬などが人々の生活に溶け込み生活しているといいます。田舎では犬がいなくなっても、探すことはせずに、またすぐ別の犬を飼うスタイルのようで、シェルターは常時満杯だそうです。

 EUによる動物保護の基準が導入され、少しは改善されたものの、猟犬の扱いはひどいものだと言われています。猟期以外にかかる餌代などがもったいないからという理由で、猟犬を殺してしまったり、次のシーズンまでネグレクトのような飼い方をしたり、まだ捨てられる方が幸せというような状況にあるそうです。

 日本とスペインは動物愛護に関してやや共通点があるかもしれません。「小型犬をファッションのように飼うことが流行し、田舎で犬は牧歌的に暮らすものの、扱いについては残虐行為も見られる」ということ。こうした意識の国で、例え小さな町であったとしても、素晴らしい行政が動物を守る条例を可決したことに、光を見出し、日本でもそのような行政を称え、つくっていこうという意識が大事なのではないでしょうか。

愛護動物に関する殺処分は、法令により「処分することができる(狂犬病予防法)」「譲渡し及び殺処分とする(犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置)」と自治体に処分する権利を与えているだけであり、必ず殺処分しなければならない義務があるわけではない。(ウィキペディアより引用)

 何の罪もない動物を、「収容できない」「飼養管理にお金がかかる」という理由で殺処分することは、「倫理観の欠如」、「命の冒涜である」ということに、行政自体に気付いてもらわなければなりません。行政の長に、気付いてもらわなければなりません。ペットの増産を許可しているのは、行政です。

 増えすぎたから「殺処分」するのは当たり前、しょうがないのでは?というのはまさに古い感覚なのです。「殺処分」が当たり前という時代を過ごしてきた、「慣れ」の問題であり「感覚が欠如している状態」でもあります。殺処分自体が「異常な行為」ということに気付くこと、気付いてもらうこと、そして最終的にはこのスペインの小さな町のような行政が次々誕生するような国をみんなで目指しましょう。