高齢者に犬を買わせたいペット業界と、静かに広がる草の根運動

2015年12月17日

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※写真はイメージです

ペットの売れ行き・飼育頭数が右肩下がりという現状に、ペット業界の危機感が高まり、ペット業界は、いかに販売頭数を増やすか――という方向へと突き進んでいる。

高齢者の健康寿命を口実に「子犬を売りたい」業界の倫理観/太田匡彦 YAHOO !NEWS

を読まれた方も多いと思います。現在、高齢者の多頭飼い崩壊、突然の病気・入院・死などによる飼育動物放棄などが問題となっています。にもかかわらず、高齢者にペットを売りつけようとするペット業界。大量消費・大量消費・大量遺棄を温存させようとしているペット業界トップの考えに、驚愕された方も多いのではないでしょうか。

 

 

「命を救うより、業界の損失が問題」越村義雄・ペットフード協会会長(当時)

「これから(犬の飼育頭数が前年比)3・6%ずつ減少するとして、だいたい2400億円くらいが失われる。一方で、いま殺処分ゼロ運動というものがある。もちろん命を救うのは大切なんですが、いま殺処分されている12万8千頭をゼロにしたら、ま、だいたい84億円くらい。もちろん12万8千頭を救うことも大切ですが、人と動物の共生社会をつくるということに関して、いまのまま業界が(飼育頭数の減少に対して)何もしませんと、最低でも2400億円が損失になるというそんな試算がでている

 

 

永村武美・JKC理事長業界団体のトップ自ら、売れ残った犬や繁殖能力が衰えて不要になった犬を各自治体に引き取らせることを前提とした発言

「いまの動物愛護法では、終生飼養の確保という非常に厳しい項目を満たさなければいけない状況になっているが、ペットの販売業者は、非常に言葉は悪いんですけど、売れ残りの子犬たちをどうすればいいのか。新しい飼い主が見つかるまでその子犬たちを飼っておく場所、いわゆるシェルターを自分たちで準備する意識が、小売り関係者の間でもかなり芽生えてきている。一方で、ペットの飼育は国民の健康のためになっており、裏をかえせば医療費がそのぶん軽減されているということ。つまり公共性が非常に高いのだから、(犬猫等販売業者が)シェルターを作る際には3分の1とか半分は、国が助成するといった措置もぜひ考えていただきたい」(永村氏)

業界団体などが主催する別のシンポジウムでこんな発言をしていた。

「急激に規制強化が行われると、(犬の)大量遺棄、廃棄ということが必然的に起こってくる。ブリーディングができなくなっても、それを保健所で引き取ってもらえなくなった。どうしたらいいのか、もう知恵の出しどころがなくて、大量廃棄、遺棄をするということになる」(11月15日に開催された「ペットとの共生推進協議会シンポジウム」での閉会のあいさつ)

 

赤坂動物病院医療ディレクターの石田卓夫・日本臨床獣医学フォーラム会長は「老人が犬を飼うことを妨げていはいけないという条例ができてほしい」

「老人が『私はさみしいから犬を飼いたい』といったら、それは何人(なんぴと)も妨げてはいけないという条例ができてほしいと思います。法律では無理かもしれないけど、各地方の条例くらいならできるんじゃないか」

ペット業界が高齢者に犬猫の飼育を推奨すればそのしわ寄せは犬猫、そして各自治体、つまりはすべての納税者に

そして何より、ペット業界の根幹にある生体小売業を中心に据えたビジネスモデルを、見直さなければいけない。業界団体による自浄作用が期待できない現状を鑑みれば、動物愛護法改正による動物取扱業者への規制強化を急ぐべきだ。もし現在の環境のままペット業界が高齢者に犬猫の飼養を推奨すれば、そのしわ寄せは、犬や猫、そして各自治体(つまりはすべての納税者)へといく。

 

高齢者の健康寿命を口実に「子犬を売りたい」業界の倫理観/太田匡彦 YAHOO !NEWSから抜粋

 

 

静かに広がる「生体販売反対」の草の根運動

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 生体販売での増産、ひいては動物取扱業者への規制の緩さが、現在の行政での殺処分という事態を招いています。無責任な飼い主の問題もありますが、「抱っこ」商法で抱っこをさせ、その気になった消費者にローンを組ませ、イージーに購入させるという販売側の体制も問題があります。もちろんパピーミルなどの、悲惨な繁殖方法もまた然り。

 動物取扱業は、都道府県知事または政令市の長の登録を受けるものなので、不適切であったり違法な販売をしている取扱業者には都道府県知事や政令市の長が改善の勧告や命令を行います。悪質な業者には登録の取り消しや業務停止命令が行われることがあります。ですので、生体販売店のある都道府県、もしくは政令市に連絡し、通報するのも有効です。

 劣悪な環境でペット販売を続けたとして、東京都が昭島市のペットショップ「パピオン熱帯魚」に動物愛護法に基づき、業務停止命令を出したのが2015年4月でした。都がペットショップに業務停止命令を出すのは初だといいます。ですが登録取り消しは行われませんでした。

動物愛護管理法

第一種動物取扱業者の規制

■立入検査・罰則など

 必要に応じて都道府県等の動物愛護担当者が立入検査を行い、守るべき基準が守られていない場合や、動物の管理や施設が不適切と認められる場合などには、都道府県知事や政令市の長が改善の勧告や命令を行います。悪質な業者には、登録の取り消しや業務停止命令が行われることがあります。

 登録せずに営業した場合や改善命令や業務停止命令に従わなかった場合は、100万円以下の罰金に処せられます。また、登録内容の変更を届け出なかったり、虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金に処せられます。

 

 SNSで静かな話題となっているのが、「生体販売のお店の意見箱に意見を入れ続けたら、生体販売がなくなった」という報告です。「私もやってみよう!」という共感を呼んでいます。お買いものの時にもできる小さな活動です。何年も続けておられる方もおられるようです。これ以上、ペットの販売数を増やせば行政の負担、住民の税負担、動物の犠牲などを拡大するのが生体販売です。ひとつの意見として投書する人が増えれば、何かが変わるかもしれません。

※ツイッターなどで「生体販売 意見箱」等のワードで検索してみて下さいね。