コスト高で材料入手が絶望的!?三味線業界の素材革命を切望!!

2016年4月30日

 

三味線材料ピンチ 犬・猫の皮、入手困難に

syamisen

※写真はイメージです

和楽器の素材となる動植物の入手がますます困難になっている。特に三味線の胴に使われる犬と猫の皮は世界的な動物愛護の高まりを受け、輸入がほぼ停止、新たな素材が入手できなくなっている。このような事態に対処しようと、三味線の製造業者や奏者、研究者たちは代替素材の開発を急いでいる。 (小林泰介)

 四月上旬、和楽器素材の問題を考えるセミナー(専門誌「邦楽ジャーナル」主催)が東京都内で開かれた。プロ奏者や研究者、製造業者らが参加する中、これまで犬や猫の皮の供給元となってきたタイや中国が輸出を禁止、危機的状況にあることが報告された。

 こうした現状に対し、長唄三味線方の芳村伊十冶郎(いそじろう)が犬や猫の代替品として、カンガルーの皮を張った三味線を実演。「犬や猫(の皮を使った三味線)と音色は遜色がなく、将来的に期待ができる」と語った。また、神奈川県内の三味線専門店が開発した合成皮革を使った三味線もプロたちが試演したが、こちらは音色の評価は分かれた。

 また、三味線のバチで使われる象牙の代替品に関して、名古屋大大学院工学研究科の大槻主税(ちから)教授がバイオナノテクノロジーでつくる新素材の開発状況について講演した。

 地歌・生田流箏曲の人間国宝である富山清琴は「将来、こうした新素材がプロの演奏家にとっても選択肢の一つになる。その中から昔の音を追い求めていかなければならない」と話していた。   2016年4月29日

東京新聞 TOKYO Web より一部転載

音楽愛護と動物愛護は終わりなき論争になる

 三味線は中国より伝来した楽器であるといわれていますが、更にさかのぼると古代エジプトまでたどりつくといいます。エジプトからシルクロードをたどり、中国へ。室町時代に中国の「三絃」が琉球へ渡り「三線」となり、改良したものが日本固有の弦楽器「三味線」になったといわれています。

 三味線の皮は犬・猫の皮が使用され、高価な三味線には猫、稽古用などには犬を使うといわれています。現在はタイや中国から輸入したものを使っているといいますが、猫取り業者・犬取り業者の存在があるのではないか、といわれています。

 三味線の演奏者は人間国宝に指定されており、国は三味線の価値を認めている現状です。愛玩動物である犬猫の皮を使用しているということは、それらの動物の飼い主などからすれば、非常に不愉快で残酷なことと受け止めるのは当然と思われます。そこで「伝統芸能」対「動物愛護」や「音楽愛護」対「動物愛護」の論争に発展します。そこには価値観の違いがある為、それぞれの言い分があり、終わりなき論争となります。

伝統は無理やり存続させるのではなく、変化があって当たり前

 伝統文化であっても、本皮には合皮には奏でられない音の美しさがあったとしても、動物達の命を犠牲にしてまで必要なものなのか。カンガルーだったらいいですよ、という問題ではないと思われます。新しい素材を開発してパーツを取り換えるのなら、伝統も継承される価値があるのではないでしょうか。伝統文化も需要がなければ、存続させる価値はなく、淘汰されてゆくものです。

 実際、海外からの三味線の材料の入手は年々難しく、コスト高(価格は以前の10倍)になっていると、専門の業者の方も記事にしておられます。※『三味線の材料(犬皮)が危ない!』 東亜楽器株式会社

 日本文化に魅力を感じた海外の方に三味線の需要が拡がるのではないか、との見方もあるようですが、海外からの批判の声があがるかもしれません。いずれにしても、海外からの調達を断念し(もちろん国内でも)、三味線業界全体が合皮や新素材などを使用する流れに変化してほしいものですね。