害獣駆除に使われ殺される、ディンゴに見る現代人の姿

2016年7月29日

 

捕獲したディンゴを海洋公園の島の害獣ヤギ退治に

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※写真はイメージです

2016年7月24日

 はるか昔にグレート・バリア・リーフの島に放牧されたヤギが増えすぎ、島の生態系を荒らしているため、所轄のヒンチンブルック・シャイア役所は大陸内陸部で捕獲したディンゴを島に放す計画を進めている。
 ABC放送(電子版)が伝えた。

 同役所は、「4頭の野犬をペロラス島に放し、害獣のヤギを退治させるが、この野犬が害獣化するおそれはない。去勢してあり、しかも時限活性化毒を埋め込んであり、時が来ればこのディンゴらも死ぬことになっている」と語っている。
 (中略)
 この試みを指導しているベン・アレン、リー・アレン両博士らは2年の計画で2頭をすでに島に放しており、本能のままに狩猟をさせる。リー・アレン博士は、「野犬が羊や山羊の牧場に多大な損害を与えるように、島でも野犬が野生害獣化した山羊を狩ってくれる」と語っている。

 1993年、リー・アレン博士は、国防軍のショールウォーター・ベイ訓練区域内のタウンゼンド島に16頭のディンゴを放すプロジェクトに参加したことがあり、「70平方キロの島で3,000頭の野生化した山羊を駆逐するのにわずか2年だったが、その後、ディンゴを駆逐するために10年から15年かかった」と語っている。

 今回のプロジェクトでは、2年後に戻ってきてディンゴを射殺する計画が組み込まれており、それに失敗しても4頭には害獣駆除に用いられる1080と呼ばれる毒薬のカプセルが埋め込まれており、2年経つとこのカプセルから毒薬が体内に注入されるようになっている。

 また、ディンゴは人間が餌づけしない限り、島を訪れる人々に危害を加えることはほとんど考えられない。
■ソース
Death row dingoes set to be the environmental saviour of Great Barrier Reef’s Pelorus Island

日豪プレスより転載

 

 

ディンゴは野生動物で、純血種は絶滅の危機にある

resize-img ディンゴ

 放牧されたヤギが300頭に増え、原生雨林を食い荒らすので、害獣駆除の為にディンゴを放つ計画を進めているが、そのディンゴもいったん増えるとその駆除に更に時間がかかるという理由で、射殺もしくは、2年後に自動的に毒殺されるというものです。このディンゴは去勢して放たれているにも関わらず、です。

 ディンゴはオーストラリア、東南アジアに生息している野生イヌです。アボリジニが約8000年前、インドネシア方面から連れてきた動物と言われているそう。一年に一度しか出産しないといわれています。ディンゴは飼いイヌとの異種交配が可能であり、オーストラリアではディンゴそのものの数は増加しているのですが、南東部に生息する1/3以上は飼いイヌとの混血であるとも言われています。純粋な遺伝的特徴を持つディンゴは、絶滅の危機にさらされているともいえます。そのことが、オーストラリア各地で正式に認められたことにより、各国の動物園から引き合いが急増しているという何年か前の記事もありました。

 ディンゴは肉食でやや凶暴であり、家畜を襲ったりするので有害だとみなされてきたようです。野生のディンゴは人間を襲うこともあり、ニュースで取り上げられることもあるようです。野生動物が時として人間にとって脅威となるのは、野生動物であるが故であり、ディンゴが特別凶暴だということではないようです。日本では熊が人間を襲った事件も報道されていましたが。

ディンゴの運命に見る、現代人の姿

 害獣駆除に一役買ってくれた動物を、害獣として射殺する、失敗しても時限毒殺。完全なる殺処分。種を制御するのは、人間がやっていいことなのかという問題もありますが、ややこしくなるのでここでは割愛します。ただ、こういった思考は非常に危険だと思いませんか。「次は人間の番では?」と懸念されるコメントを拝見しましたが、全く同感です。

 ディンゴは時限性活性化毒を仕込まれているのですが、毒というものの危険性はその毒性と摂取量と時間によって決まるといわれています。ディンゴは神経毒を仕込まれているようですが、私達が注意しなければならないのは、日常に潜む毒です。例えば、薬やワクチン、食品添加物、農薬、駆除剤、抗菌剤、他。多くのモノは毒性が低いといえるのでしょうが、長年にわたり使用していると危険だということです。

 忘れがちなのは、、経皮毒皮膚を通して入ってくる毒です。(基礎)化粧品、ハンドクリーム、台所用洗剤、シャンプー、リンス、入浴剤、石鹸、生理用品、歯磨き粉、ネイル、ヘアカラー、他多数。女性は特に注意したいですね。抗菌や害虫駆除を謳う製品も、人間や動物にとって無害とは決していえません。

 長年蓄積された毒により、免疫力が低下する。緩やかに毒を仕込まれているとしたら、我々もディンゴと何ら変わらないのではないでしょうか。ゴキブリや蚊など害虫を駆除しようとして、その実、自らが駆除されているとしたら、ディンゴと我々は同じ運命です。