貫いた「京都市は殺処分機は使っていません、要りませんよね」という態度、京都動物愛護センター(後編)

2016年2月9日

土日、祝日もオープンしていることが愛護センターという施設には重要な要素

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 京都動物愛護センターは、京都市南区に立地し、JR「京都」駅からタクシーで1メーター(電車ならJR「京都」⇒近鉄京都線「十条」から徒歩5分)。

 動物愛護センターという施設としては類を見ないアクセスの良さ。利便地ということに加えて、来館者が多く見込まれる土日や祝日にオープンしているということも、譲渡率アップにつながっているそうです。「通常、土日、祝日もオープンしていること」が愛護センターという施設にとって、重要な要素だと河野さんは言います。公園が新しく生まれ変わったことは、地元の方に喜ばれたそうです。

 

ガスであろうが麻酔処置であろうが殺処分は殺処分、麻酔処置だからといって獣医師が安易にできることではない

 

 殺処分機を使わなくなると殺処分は減りますか?

 難しいところです。絶対減りますといいたいのですが、、、、収容頭数が多ければ致し方ない、、、ところはあります。新しい施設をつくったことで、捨てに来る人、救ってくれるんでしょという方が多いのは事実です。「安楽死をしてください」という人もいます。「ガスはいやだが、安楽死ならお願いします」と。

 

 ガスであろうが安楽死(麻酔処置)であろうが殺処分は殺処分です。獣医師が安易にできることではありません。病気などで苦しみ、余命幾ばくもない動物の安楽死は否定はしませんが、それは民間医療でやることです。「愛護センターに来る」ということは動物にとって苦しみなのです。せめて最後くらいは、、、、、。もちろん「安楽死を」と持ち込む飼い主にはノーと言います。

 

譲渡事業が注目されるが、伝わってほしいのは愛護センターというものが存在する理由

 

 「実際に手を下さなければいけない獣医師の説得力は強いですからね。」と河野獣医師。

 殺処分数が減ったという実感は難しい、、、、ですね。実際ここに来る子達が減らないと、、、。

 「愛護センター」というものがもっと伝わらないといけないと思います。

 「愛護センター」に来る犬猫達は、やむにやまれぬ事情で来る子達であり、本来ここにいるべきではない子達なんです。本来であれば必要のない施設であり、ここに来る頭数を減らしていかないといけないのです。

 それには、『飼う前にちゃんと考える』ことが必要であり、「可愛い!飼いたい!」を呼び起こすというよりは、『犬猫を家族に迎えるということは、こういうことだ』という説明をし、理解してもらうことが大事なのです。譲渡事業ばかりが注目されるのではなく、、、。

 

 

「命の教室」このような教育には継続性が重要だと実感

 

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 河野獣医師は4年前から「命の教室」の授業・講演をされています。愛護センターで行うこともあります。

 学校での授業内容は基本的に学校側と打ち合わせをし、ニーズに合わせて決定するということです。小学校1年生には命について考えるカリキュラムがあるため、マッチしやすいそうです。「殺処分」についてはというと、小学校高学年や中学生の授業では触れるそうです。

 

「こういう教育は継続性が重要だと実感します」

 

 河野さんは、高学年に伝える機会を増やしたいと考えているそうです。

また、講演活動も、依頼があればというスタンスで取り組まれているそうです。

 

サザエさん的な猫の飼い方で共生できる街があればそれはそれでいい、そうではない現実がある

 

 物議を醸した「(野良猫への)餌やり禁止条例」については、「無責任なえさやりはしてはいけない」という主旨であり、餌やり行為を完全に禁止するものではなく、適切な活動を支援するというものです。京都には観光地が多く、観光客など住民以外の人達が餌をばら撒く行為が行き過ぎ、周辺住民の迷惑になったのです。そこには観光地特有の事情もあります。優しさの心を否定するものではなく、餌やり行為によって困っている住民がおられるということです。

 ただ猫好き・猫嫌いで、感情的になりトラブルが発生する難しい地域もあるようです。

「時間がかかる問題だと思いますが、このままほっておいたら猫も可哀想です。家の中でしっかり飼う(終生飼育)ということが浸透すれば野良猫も徐々に減っていくでしょう。」

 昔は犬がブームとなり、ブームとなった犬種が、ブーム後に保健所に収容される頭数が多くなるという悲しい現実がありました。今はメディアなどが猫をフォーカスしていますが、逆に飼い方をしっかり報道してくれればいい、とも思います。

 でも実は、それ以前に犬猫を扱う写真やグッズなどを見るだけで、ヒヤヒヤします。猫が屋外にいる写真だけで、、、、、。サザエさん的な飼い方、それで共生できる街があればそれはそれでいいのですが。ただ、できない現実があります。

 昔のほうが殺処分数は多いのですが、昔は今のように注目されていなかった。

 今の現状を踏まえて、「外にいる猫が可愛い」と煽るのはいかがなものか、と思います。

 

保護の状況には時代の変遷があり、犬におこる事象は次に猫におきる

 

 京都動物愛護センターには最終的に京都全域の動物が送られてきます。

 その中には野犬もいるそうです。本格的な野犬(成犬)となると、急所を狙っ て噛みに来る子もいて,譲渡することができない場合もあります。悲しいかな、懐く懐かないの次元ではないそうです。そういった成犬は中々つかまらないのですが、捕獲すればご飯を食べず、ガリガリになるまでやせ細るそうです。ご飯を食べるか食べないかのハードルが高いのです。野良猫にしても同じことがいえるといいます。

 野犬にしても餌やりさんがいて、懐かせずに餌を投げやりする方もいるのだとか。出来ることならその方に世話してほしい、飼ってほしい、と思わずにはいられないそうです。

 

 最近は高齢わんこの収容が本当に多いそうです。飼い主が高齢化し入院や死去などで行き場を失うのです。河野獣医師は言います。

「保護の状況には時代の変遷があり、犬が先行、次に猫ということがいえると思います。」

 

老犬が増えた今、次に来るのは高齢の猫が増えるのではないかという懸念

 

 昔は野犬や野良犬が多く、狂犬病予防法における取り締まりを強化し解決に到りました。現在は野良猫が多く、TNRや室内飼いの徹底において解決すれば、次は高齢猫の収容が多くなるのではないか、ということです。「癒し」「さみしいから」という理由で「散歩の必要のない」猫を高齢者が求めると、飼い主が旅立ち、高齢になった猫が行き場をなくすのです。

 現時点では野良猫の子猫が多く、ニーズとマッチしていますが、老犬の譲渡が難しいように老猫の譲渡もまた難しいと予想されます。譲渡率が低下し、殺処分数が増えるのではないか、と懸念されています。

 くせがある高齢の犬が長くセンターにいるという状況が続き、最終的に老犬ばかりになってしまう状況が恐ろしい。やはり、「終生飼育」です。飼い始める方、特に高齢者への意識の植え付けは本当に大事です。刹那的な方もいらっしゃいますから。しっかり考える方ばかりになれば、犬の現状は変わります。世の中は変わります。

 

 現在京都動物愛護センターにはおよそ犬30頭、猫20頭が家族として迎えてくれる方を待っています。現在は子猫の収容が少ないのですが、暖かくなると一日に40頭という日もあります。預かりのボランティアさんもおられますが、免疫力のない子猫がご自宅で亡くなるケースもあります。先住猫がおられる家庭が多く、病気が移る心配もあります。預けたい気持ちは山々ですが、死亡する確率も高いので、難しい問題であるのは事実です。

「今年は暖冬であり、つい最近も子猫が来たのでもう生まれたのか、と衝撃的でした。」

河野獣医師はセンターにいた猫ちゃんを飼っているそうです。昔は犬も飼ってたそうです。「愛護センターにいると、あれもこれもとはいかないですね。」

 

行政の固執されたやり方にとらわれず”人”としての言動がこの国を変える

 

 大阪府の殺処分機導入を阻止する為、昼夜を問わず尽力するじゃんぬさんからのコメントです。

 行政の固執されたやり方にとらわれず”人”としての言動がこの国を変える。河野さんとは数年前に私も話をした事があります。当時はまだ数少ない動物のためを想い率先し努力してる職員さんです。ですから、私も意見した事がないくらい…。京都のセンター建設時、殺処分機を止めてくれたのも知っています。反対勢力の中、かなり尽力されたと思います。 その点につきましては感謝を申し上げますが、本来は素晴らしいと言うより”当然”と私は考えます。ボランティアに関してもそうですが、あまり持ち上げたくはありませんね。日本は弱者を護れてないのが不自然ですから…。

 

 愛護センターにいるワンちゃんはとてもキレイにしてもらっているのが印象的でした。河野獣医師は「殺処分機を使用をしない」ということに反対意見はなかったとおっしゃっていました。「反対意見がでない」ほどの信念と、「殺処分機がないのが当たり前なんだ」という姿勢。“人”としてのこのような言動により、先進的な京都動物愛護センターがうまれたのだと理解しました。

 

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なお、大阪府動物愛護管理センター(仮称)殺処分機導入反対の署名はTeam Anipal Japanの主催ですので、無断転載禁止とさせて頂きます。

大阪府動物愛護管理センター(仮称)殺処分機導入反対 

「殺処分機は要りません」という“人”としての言動により、先進的な京都動物愛護センターが誕生しました。

一方、大阪府は危機管理の為に殺処分機を導入すると公言しています。皆さまのお力添えをお願いします<(_ _)>